空間に溶け込む脇役材

レポート 2021.12.07

空間に溶け込む脇役材

現在着工中のさいたま市O邸新築工事の床の樹種にはヨーロピアンオークを選定しています。表に3mm程度の挽板の貼られた3層フローリングというものです。
3層フローリングだと床暖房を設置する場合、表面の質感の選択幅が広がります。
今回採用した床材の表面には、最初からアッシュ系に少し着色されたオイルが塗布されています。
床に関わる部材として、階段材や床の見切り材(材料が切り替わるところに使う部材)などがあります。
しかしフローリングのメーカーでは取り扱いがない物やこちらの希望するサイズではないことが多々あります。
そこで今回は堅木であるタモ材を製材業者に制作してもらい、現場塗装で色合わせを行うことにしました。

早速現場で使用するタモの無垢材と無垢集成材のカットサンプルを制作してもらい、植物油と植物ワックスを使用した自然塗料を取り扱うオスモ(OSMO)さんに色の調合サンプルをお願いしました。
オスモカラーウッドワックスの通常ラインナップの色を混ぜ合わせて好みの色に近づけていく手法です。

下の写真が出来てきたサンプルです。

#3191アンチックファーをベース:#3166チーク (5:1)調合
#3191アンチックファーをベース:#3166チーク (2:1)調合
#3191アンチックファーをベース:#3191ウォルナット (2:1)調合
#3191アンチックファー(1)調合
全てに仕上げ#3062フロアクリアつや消し上塗り
選定した床材と見比べて色味の選定を行っていきます。

下の写真のように、小さな角材が見切り材です。仕上がった時には目立つ部材ではありませんが、空間の統一感を持たせるために、このようなプロセスも大事にしています。
ご協力いただいたOSMOさんありがとうございました。

続いてはリビングの床面に設ける隠しフロアコンセントの造作の紹介です。床材の一部を切り出して、床下に小さな箱を設置しています。
蓋を締めてしまえば、木目が繋がるように目合わせをしているため、どこがフロアコンセントかわかりません。大工さんが細い鋸刃でいい仕事をしてくれました。
実際はこの後、手掛けやコードを出す穴を開けます。

今回は、出来上がってしまえばあえて説明するようなものではありませんが、空間に「溶け込む脇役材」の紹介でした。