掛け軸がつないだ物語

埼玉県さいたま市

R-002-S

南埼玉群岩槻町、明治拾参年 辰 壱月。

この建物は広大な農地の一角に位置し、茶農家の奉公人の住まい(長屋門)として築造されました。母屋の床間に掛けられた1幅の掛軸。そこには140年前の茶畑の情景が描かれ、色鮮やかな建物や賑わいある人々の姿が窺えました。

 

改修は歴史の通過点として捉え、できる限り躯体を活かし、柱梁の基本構成を維持した計画としました。随所に過去の工法を取り入れ、現代的な要素とバランスをとりつつ、本来の建物の持つ趣を蘇らせました。周囲に広がる長閑な田園風景。敷地内の樹木や竹藪は程よく隣地との視界を遮り、プライバシーを保ちながらも、室内に美しい陰影を映し出します。

 

当時としては斬新だった浅葱色(あさぎいろ)が、令和の時代を経て、次の世代へと繋がるイメージカラーとして、人々の印象に残るものであって欲しいと願っています。

 

建物用途 戸建住宅
敷地面積 499.95㎡
延床面積 108.96㎡
構造 木造2階建て
築年 1880年1月(明治13年)
改修年 2019年10月(令和元年)
設計・監理・施工 TAGKEN
構造設計 羽田野構造設計室
竣工写真 今村壽博

第37回住まいのリフォームコンクール 国土交通大臣賞受賞 2020年
グッドデザイン賞受賞 2020年
テレビ朝日「渡辺篤史の建物探訪」2020年8月29日放送
埼玉建築新聞掲載 2020年10月7日